松田博史社会保険労務士事務所

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週休3日制とは(差別化、人材確保、流出阻止)

週休3日制とは、1週間あたりの休日が3日ある働き方の制度です。週休3日制を導入・検討する企業は少しずつ増えている印象です。労働力人口の減少により人材確保が難しくなった今、新たな正社員のかたちとして、他社との差別化をアピールし、優秀な人材の確保流出阻止などの狙いがあると思われます。

特に若い世代の労働者が、入社を決める条件として、休日が多い、残業が少ない、転勤がない、などを重視する傾向があり、年間休日数が120日未満では、求人情報を見てもらうことさえ難しい状況ではあります。

・週休3日制導入による

労働者のメリット
  プライベートの時間が増える。

労働者のデメリット
  所定労働時間が少ない分、給与も少なくなる。
  ただし、週所定労働時間は変わらない制度設計の場合は、給与は変わらないが出勤
  日の所定労働時間が長くなる。

会社のメリット
  ワークライフバランスの向上を図ることができる。
  人材採用でのアピールポイントになり、定着率の改善も期待できる。

会社のデメリット
  労務管理の手間が増える。
  制度設計の仕方によっては、社員間の対立が起こったり、通常勤務社員の会社への
  不満が増す。
  顧客とのコミュニケーションに問題が発生する可能性がある。


・所定労働時間と給与の設計例

〇週所定労働時間を減らし、その分の給与も減らす
 通常勤務・・・・1日8時間 週5日勤務(完全週休2日)、週40時間勤務 
 週休3日社員・・1日8時間 週4日勤務、週32時間勤務、給与は通常勤務の8割

〇週所定労働時間は維持し、給与は変えない
 1日10時間 週4日勤務、週40時間勤務  ※変形労働時間制の導入が必須


所定労働時間と給与以外の主な検討事項

・週3日目の休日の決め方をどうするか
  会社が決めるのか、労働者が希望する日にするか、など

・週休3日制の対象者をどうするか
  希望者全員とするか、希望者のうち会社が承認した者のみにするか、部署を
  限定するか、年齢や勤続年数で制限を設けるか、など

賞与および退職金の算定方法をどうするか

副業を理由とする週休3日希望を受け入れるか
  増えた休日に副業をしたいとの申し出があることが予想される。


 
2024年02月05日 16:30

2024年12月2日に健康保険証は廃止されます。

2024年(令和6年)12月2日、健康保険証の新規発行が停止されることが
決定しました。マイナンバーカードと保険証が一体となったマイナ保険証への移行
が進められます。

経過措置として、廃止後1年間は、現行の健康保険証は利用可能です。

また、マイナ保険証を持っていない人には、医療機関で診察を受けれるよう
資格確認書(有効期間5年)が発行されます。
※資格確認書の発行手続のための申請は不要(郵送されてくる)
 
2024年01月31日 11:25

高年齢雇用継続給付の縮小・廃止(令和7年4月1日から)

令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付給付額が縮小されます。

高年齢雇用継続給付とは、60歳到達時の賃金と比較して、60歳以降の賃金が下がった場合に、その一部を給付金として補填する制度です。

具体的には、60歳以降の賃金が60歳到達時の賃金と比較して、75%未満に低下している場合に、引き下げ後の賃金額の最大15%が給付金として支給されます。

令和7年4月1日以降は、
60歳以降の賃金が60歳到達時の賃金と比較して、75%未満に低下している場合に、引き下げ後の賃金額の最大10%が給付金として支給されるよう縮小されます。

64%未満に低下・・・・・賃金額×10%
64%以上75%未満・・・賃金額×(10%から一定の割合で逓減する率)
75%以上・・・・・・・・不支給

※今後は、さらに段階的に給付率を縮小し、最終的には、高年齢雇用継続給付は廃止されることが決まっています。

 
2024年01月17日 14:45

労働条件の明示事項が変更されます。※令和6年(2024年)4月1日から

令和6年(2024年)4月1日から労働条件の明示事項等変更されます。

すべての労働者(正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣労働者など雇用形態を問わず)に対して、

労働契約の締結および有期労働契約の契約更新のタイミングで、雇い入れ直後の
 就業場所・業務内容に加え、就業場所・業務内容の変更の範囲を明示することが
 必要になります。
 ※令和6年4月1日以降に契約締結・契約更新する労働者から対象となります。

 変更の範囲とは、今後の見込みを含め、在職中に勤務する可能性のある就業場所
 すべて、従事する可能性のある業務すべて、をいいます。

 〇変更の範囲の記載例

  ・本社および全ての支店・営業所
  ・〇〇県内、〇〇市内
  ・会社の定める場所(テレワークを行う場所含む)
  
  ・会社内のすべての業務
  ・〇〇業務
  ・会社の定める業務


有期労働契約の労働者に対して、有期労働契約の締結時および契約更新のタイミング
 ごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無
 その内容を明示することが必要になります。
 
 また、更新上限を新設・短縮する場合は、その理由をあらかじめ説明することが
 必要になります。

 〇更新上限の記載例
 ・契約期間は通算4年を上限とする。
 ・契約更新は3回までとする。


無期転換申込権が発生する有期労働契約の契約更新のタイミングごとに、無期転換を
 申し込むことができる旨
無期転換後の労働条件を明示することが必要になります。

 無期転換ルールとは、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期労働契約
 労働者からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換されるルールの
 ことをいいます。使用者(会社側)は無期転換の申し込みを断ることはできません
 ※平成25年4月1日施行

 例えば、
 契約期間1年の労働契約が5回目の更新された時に、無期転換の申込権が発生
 ます。そして、その6年目の契約期間中に労働者が無期転換の申し込みを行った
 場合、その次の契約更新日から期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に
 転換されます。

 無期転換後、有期労働契約者と同じ労働条件で契約期間だけが無期の無期労働
 契約社員
とするか、それとも正社員にするかなど、転換後の雇用形態をどのよ
 うにするかの検討が必要です。
 
2023年12月26日 14:28

令和5年(2023年)の最低賃金の改定について

令和5年(2023年)の最低賃金の改定についての答申がなされました。
47都道府県で、39円~47円の引き上げが予定されています。

愛知県は、986円から41円アップの1,027円に引き上げられる予定になっています。
※10月1日から

詳細については、下記アドレス厚生労働省ホームページで確認できます。
令和5年度最低賃金額答申|厚生労働省 (mhlw.go.jp)


​​
2023年08月28日 14:30

令和5年度の労働保険年度更新の申告書の作成について

昨年度は、雇用保険料率が前期と後期で異なったため、今年度の確定保険料を算出する場合、労災保険・雇用保険とも、前期と後期に分けて賃金を集計する必要があります。

1. 年間の賃金総額を算出する。
 ①前期( 4月~9月の給与、及びこの期間の賞与)
 ②後期(10月~3月の給与、及びこの期間の賞与)

 ①②それぞれの合計額の千円未満を切り捨てた金額を足した結果が、確定保険料の
 算定基礎額
(申告書㉜欄合計イ+ロ、ヘ+ト)になります。


2. 確定保険料額を算出する。
 1.で算出した算定基礎額(申告書㉜欄イ、ロ、ヘ、ト)に、それぞれの保険料率を
 掛けた結果が確定保険料額(申告書㉜欄ニ、ホ、ヌ、ル)になります。
 この計算結果の円未満の端数については、切り捨てを行わず、そのまま使用します。

 そして、切り捨てしていない前期と後期の数字を足してから(申告書㉜欄合計ニ+
 ホ、ヌ+ル)、円未満の端数を切り捨てした数字が年間の確定保険料額(申告書
 ➉欄ロ、ホ)になります。


● その他
 一般拠出金の算定基礎額(申告書⑧欄ヘ)は、前期と後期の賃金を足した数字の円
 未満の端数を切り捨てした金額になります。

 足してから切り捨てするため、確定保険料の算定基礎額(申告書⑧欄ロ)とは、千円
 違ってくる
ことがありますが、これは問題ありませんので、千円違う数字で一般
 拠出金の計算
をしてください。

 概算保険料の算出方法と期別納付額の計算は、従来どおりです。


     例年とは算出方法が異なりますので、注意して作成ください。

 
2023年05月30日 13:53

賞与支給月に退職する場合の社会保険料控除と賞与支払届

賞与支給月の末日以外に退職した場合
 ・社会保険料の控除は不要

 ・ただし、退職日が賞与支給日より後の場合、賞与支払届に支給額を記載し届出
  する必要あり
(社会保険料控除は不要)
  ※退職日までに支給された賞与は、累計標準賞与額(上限573万円)の対象に
   なるため

 ・退職日が賞与支給日より前の場合、賞与支払届の届出不要


与支給月の月末に退職した場合
 ・社会保険料の控除は必要、賞与支払届の届出も必要


例えば、賞与支給日が7月15日のケースの場合

退職日 7月10日  社会保険料控除不要  賞与支払届不要
退職日 7月20日  社会保険料控除不要  賞与支払届必要
退職日 7月31日  社会保険料控除必要  賞与支払届必要


控除し忘れてしまった、控除不要なのに控除してしまった、賞与支払届に記載し忘れてしまったなど、間違えないよう注意してください。
 

2023年04月26日 13:35

雇用契約の締結により発生する権利と義務は

雇用契約(労働契約)とは、「労働者が使用者に使用されて労働を提供し、使用者が労働者に賃金を支払う。」 ことを不可欠とする契約です。
つまり、労働者には労働義務、使用者には賃金支払義務が法的義務として発生します。

雇用契約を締結すると、使用者および労働者には、前記以外にも様々な権利義務が発生します。

使用者・労働者共通

信義誠実の原則
 相手方の信頼を損なうような行動をしてはならない。

権利濫用の戒め
 権利の行使にあたっては、それを濫用してはならない。


労働者の義務

誠実労働義務(職務専念義務)
 労働者は、雇用契約の合意内容の枠内で、使用者の指揮命令に従って誠実に労働しな
 ければならない。職務に専念しなければならない。

職場(企業)秩序遵守義務
 労働者は、職場(会社)の秩序を乱さないよう行動しなければならない。

守秘義務・競業避止義務
 労働者は、業務上知り得た使用者の営業秘密や企業秘密などをその承諾なく使用・
 開示してはならない。
 使用者の事業と競合する事業を行ってはならない。


使用者の権利義務

業務命令権
 使用者が雇用契約の締結によって取得した労働者の労働力を利用・処分する権限

人事権
 労働者の配置、異動、昇進、人事考課など労働者の地位や処遇に関する決定権限

職場(企業)秩序定立権
 組織的労働の円滑な遂行のために、組織としての規律・秩序を設定し、それを維持
 
する権限

安全配慮義務
 労働者が使用者の指揮命令の下に労働を提供する過程において、労働者の生命および
 身体を危険から守るよう配慮
すべき義務

職場環境配慮義務
 労働者が職場で快適に働けるよう、職場環境を整備・保持しなければならない義務(セクハラ・パワハラなどが起こらないように)


以上の権利義務は、就業規則や雇用契約書に記載がなくても、雇用契約の締結によって付随して発生する権利義務です。就業規則等に書かれてないからといって義務を免れるものではありません。

就業規則の服務規定は、労働者の義務である誠実労働義務、職場秩序遵守義務、守秘義務・競業避止義務を具体的に記載したものと言えます。服務規定はとても大事な規定なのですが、あまり関心がないように見受けられるケースがあります。就業規則の内容は法的義務になりますので、しっかり関心を持って規定を作っていってください。

従業員数9名以下だと就業規則の作成義務はありませんが、服務に関するルールを定めた「職場のルール」を作成し、従業員の義務を明確にし明示することは秩序ある職場の維持に効果的な手段であります。最近は、自分の権利ばかり主張し、義務をきちんと果たさない労働者も増えてきています。※ネット等で権利についてすぐ調べられる時代のため

 
2023年03月31日 10:30

休日出勤や残業と所定労働時間の労働は相殺できません。(給与計算に注意)

所定労働時間が1日8時間、休日が土曜・日曜の会社で、土曜日に休日出勤し8時間労働した従業員に、翌週の月曜日に代休を与えた場合、給与計算の処理はどのように行うべきなのでしょうか。

土曜日に労働させた分、月曜日に休みを与えたので、都合トータルの労働時間は変わらないため、休日出勤に関する手当は全く不要なのでしょうか。

このケースの場合、休日出勤した週は月曜から金曜までに、すでに8時間×5日=40時間労働していて、土曜日の労働は週40時間を超えた労働になるため、割増賃金の支払いが必要になります。法律上、1日については8時間、週については40時間を超えた労働について割増賃金の支払いが必要なためです。

土曜日の休日出勤分・・・1時間あたり賃金×1.25×8時間 の支払い
月曜日の休み分・・・・・1時間あたり賃金×8時間     の控除

この2つの計算式を相殺すると結局、1時間あたり賃金×0.25×8時間分の手当の支払いが必要なことになります。

0.25分の支払いをしていない場合は、労働基準法違反になるため注意してください。

ただし、休日出勤した週に休日を与えた場合は、その週の労働時間は40時間になるため、手当の支払いは不要になります。


また、残業が長時間になったため、その時間分翌日の始業時刻を遅らせた場合(終業時刻はそのまま)も上記同様になります。

例えば、4時間分の残業代は、1時間あたり賃金×1.25×4時間になりますが、翌日4時間労働を免除した分は、1時間あたり賃金×4時間の控除になるため、0.25×4時間分の残業代の支払いが必要になります。支払いをしていない場合は、労働基準法違反になりますので注意してください。

 
2023年03月20日 11:45

令和5年度の雇用保険料率(4月1日から変更になります。)

令和5年4月1日から、下記のとおり雇用保険料率が変更になります。
そのため、4月1日を含む給与計算期間から雇用保険料率を変更して給与計算を行うことになります。

例えば、

10日締めの場合 → 4月10日締め分から変更
15日締めの場合 → 4月15日締め分から変更
月末締めの場合       →   4月30日締め分から変更

 
  労働者負担 事業主負担 雇用保険料率
一般の事業 6/1000 9.5/1000 15.5/1000
建設業 7/1000 11.5/1000 18.5/1000


5年3月分(4月納付分)から、健康保険料率および介護保険料率も変更になりますので、注意してください。

ちなみに、当事務所がある愛知県の
 健康保険料率は、10.01%
 介護保険料率は、 1.82%   に変更になります。

 
2023年03月02日 14:00