松田博史社会保険労務士事務所

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年間休日を増やした場合の割増賃金単価の変更時期は

会社の年間休日年の途中で増やした場合、残業代などを計算するための割増賃金の単価はいつから変更すべきなのでしょうか。

時間外労働等に対する割増賃金の単価は、月によって定められた賃金÷1年間の月平均所定労働時間数 により求めます。

例えば、1日の所定労働時間が8時間、現在の年間休日が110日とすると、月平均所定労働時間は、

(365日-110日)×8時間÷12ヵ月=170時間

となります。そして、年間休日を10日増やして、120日にすると仮定すると、

(365日-120日)×8時間÷12ヵ月=163.3時間

となります。

そして、月給30万円の場合、これまでは、30万円÷170時間=1,764.70円 であった1時間あたりの単価が、30万円÷163.3時間=1,837.10円 に上がり、残業1時間あたりの金額は、
2,206円から2,297円に、91円上がることになります。

この91円上がった新しい単価での残業代計算は、いつから実施すべきなのでしょうか。
仮に、10月に休日を増やした場合、いつから新しい単価で残業代等を計算すればよいのでしょうか。
10月からなのでしょうか。それとも、1月まで遡って計算し直さなければならないのでしょうか。

会社の休日に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項のため、休日が変更になった場合は、休日についての就業規則の記載を変更し、従業員代表の意見書を添付して労働基準監督署へ届け出て、変更後の就業規則を従業員に周知する必要があります。

そのときに、変更後の就業規則の一番最後に記載する付則等に、

「本改正は、令和7年10月1日から適用する。」

と記載し、9月下旬までに従業員に周知すれば、休日の変更に関する就業規則の効力は、10月1日から発生することになりますので、割増賃金単価の変更10月1日から実施すればOKです。1月まで遡って変更する必要は全くありません。ご安心ください。

 
2025年01月29日 13:30

36協定(時間外・休日労働に関する協定届)に関する注意事項

36協定(正式名称:時間外・休日労働に関する協定届)とは、1日の労働時間が8時間を超える場合、または週の労働時間が40時間を超える場合に、労働基準監督署に届け出ることによって、これらの時間を超えて労働させても労働基準法違反に問われることはなくなるための届出書類です。

つまり、1日8時間、週40時間を超えて労働することがある事業所は、必ず届出が必要ということになります。超えることは絶対にない事業所については、届出の必要はありません。

この36協定では、1日、1ヶ月、1年について、それぞれ延長することができる時間数(時間外労働時間)を記載します。

1日については、特に法的上限はありませんので、何時間と記載してもOKです。徹夜勤務を想定して15時間(24時間-所定労働時間8時間-休憩1時間)と記載することも可能です。
1ヶ月については、完全週休2日制の場合は、原則最大45時間が上限になります。
1年については、完全週休2日制の場合は、原則最大360時間が上限になります。


〇36協定には、法定労働時間(8時間)を超えて時間外労働させることができる時間数を記載します。よって、所定労働時間が8時間の事業所の場合は、法定労働時間イコール所定労働時間のため分かりやすいのですが、所定労働時間が8時間より短い事業所については、少し分かりにくいかもしれません。

例えば、所定労働時間が7.5時間の場合、

ある日に8時間労働した。 → 会社としては、残業0.5時間とカウント → 36協定上(労働基準法上)は、残業ゼロ
ある日に9時間労働した。 → 会社としては、残業1.5時間とカウント → 36協定上(労働基準法上)は、残業1時間

このように、会社でいう残業時間と36協定上の残業時間が異なります
時々、この事を理解しておらず、残業時間が上限を超えてしまったと相談がありますが、所定労働時間が8時間より短い事業所の場合は、36協定上の時間に、所定労働時日数×8時間より短い時間数を足した時間数まで残業可能なので、安心してください。

例えば、1ヶ月45時間と36協定に記載、所定労度時間7.5時間、所定労働日数20日の場合、
36協定上の時間外労働上限45時間+(所定労働日数20日×(8時間-7.5時間)=55時間
までの残業時間が協定の範囲内となります。


〇45時間の時間外労働が1ヶ月あたりの上限だからといって、毎月45時間時間外労働させることはできませんので、注意してください。なぜなら、年間の時間外労働の上限は360時間だからです。
 45時間×12ヶ月=540時間>360時間
年間360時間以内に収めるには、月30時間平均でなければなりません。40時間の月があった場合、
20時間の月も必要になってきます。


36協定上(労働基準法上)の休日労働とは、会社として法定休日を決めていない場合は、例えば会社休日の土日の両方に休日出勤した場合のいずれかの日の労働時間になります。法定休日は日曜と決まっている場合は、日曜の労働時間が休日労働となります。(法定休日とは、労働基準法に基づき、会社が労働者に必ず与えなければならない休日です。少なくとも週に1日の休日を与えることが義務付けられています。法定休日以外の休日は、法定外休日といいます。)

この法定休日に、労働者に労働させる可能性がある場合は、36協定の休日労働に関する記載欄も記載する必要があります。


 
2025年01月10日 13:05

労務関係書類の保管期間

【主な書類の保管期間】


〇 健康保険・厚生年金保険に関する書類・・・・完結の日(退職・解雇)から2年

〇 雇用保険の被保険者に関する書類・・・・・・完結の日(退職・解雇)から4年

〇 雇用保険の被保険者以外に関する書類・・・・完結の日(退職・解雇)から2年

〇 労働者名簿・・・・・・・・・・・・・・・・退職・解雇の日から3年  ※5年になる予定
 
〇 賃金台帳・・・・・・・・・・・・・・・・・最後の記入の日から3年  ※5年になる予定

〇 雇入・退職・解雇に関する書類・・・・・・・退職・解雇の日から3年  ※5年になる予定

〇 賃金その他労働関係の重要書類・・・・・・・最後の記入の日から3年  ※5年になる予定
 (タイムカード、残業申請書など)

〇 労働保険の徴収・納付に関する書類・・・・・完結の日から3年

〇 労災保険に関する書類・・・・・・・・・・・完結の日から3年

〇 健康診断個人票・・・・・・・・・・・・・・作成日から5年

〇 安全委員会・衛生委員会議事録・・・・・・・作成日から3年

〇 源泉徴収簿・・・・・・・・・・・・・・・・法定申告期限から7年

〇 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、
  配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書・・法定申告期限から7年

〇 雇用関係助成金の申請関係書類・・・・・・・支給決定日から5年

 
2024年11月27日 11:00

令和6年10月から最低賃金が改定されました。

令和6年10月から最低賃金が改定されました。
当事務所のある東海地方、および東京・大阪は次のとおり改定されました。

愛知県  1,027円 ⇒ 1,077円
岐阜県    950円 ⇒ 1,001円
三重県    973円 ⇒ 1,023円

東京都  1,113円 ⇒ 1,163円
大阪府  1,064円 ⇒ 1,114円

その他の地域については、こちらから
地域別最低賃金の全国一覧 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)



最低賃金のチェック方法

〇時間給の場合
 時間給が最低賃金以上であること

〇日給の場合
 日給÷1日の所定労働時間 が最低賃金以上であること

〇月給の場合
 月給÷月平均所定労働時間 が最低賃金以上であること
  月平均所定労働時間=(365日-年間休日)÷12ヶ月×1日の所定労働時間


最低賃金の対象にならない賃金(上記の計算において除外される賃金)
・残業手当、休日出勤手当、深夜割増手当
・通勤手当、家族手当、精皆勤手当
・賞与
・臨時に支給される賃金(祝い金など)
 
2024年10月09日 13:14

休憩時間について

労働基準法では、労働時間6時間を超え8時間以下の場合には、少なくとも45分8時間を超える場合には、少なくとも60分の休憩時間を労働時間の途中に与えることを使用者に義務付けています。

休憩時間というと、一般的に12~13時のお昼の休憩をイメージしますが、1日の所定労働時間が7時間30分であれば、お昼の休憩は45分でも法律上は構いません。

ただし、所定労働時間が7時間30分で、休憩が45分の場合、定時で帰る日はそれで問題ありませんが、例えば残業を1時間する場合には、労働時間が8時間30分となり8時間を超えることになりますので、追加で15分の休憩を与える必要があります。

休憩時間は1回にまとめて与えてもいいですし、分割して与えても構いません。例えば、12~12時45分と15~15時15分の1日2回で、計60分などの与え方でもOKです。

休憩の一斉付与
休憩時間は、従業員に一斉(全員一緒に)に与えることを原則としています。ただし、運送・販売・金融・保険・飲食・接客業などの業種は、一斉に与えることが難しいため、交替で休憩を与えても構わないとなっています。また、上記業種以外でも労働者代表と労使協定を締結すれば、交替で休憩を与えることができます。
労使協定には、次の事項を定める必要があります。

・一斉に休憩を与えない労働者の範囲
・当該労働者に対する休憩の与え方

労使協定は、労働基準監督署への届出は不要です。

休憩時間の自由利用
休憩時間は、自由に利用させなければならないと定められています。休憩中に電話が鳴ったら出なければならない状態は、労働から完全に解放されているとはいえないため、待機時間として法的には労働時間になります。(休憩を与えたことになならない。)

どうしてもお昼休みに電話番が必要であれば、電話番を当番制にして、当番日は休憩をずらして(例えば13~14時)とるようにして対応することになります。そうでないと、休憩時間は労働時間であるとされ、退職時や退職後に賃金請求されるリスクが高まります。電話番の頻度や勤続年数によっては、高額請求になる可能性があります。

 
2024年04月26日 13:30

令和5年(2023年)の最低賃金の改定について

令和5年(2023年)の最低賃金の改定についての答申がなされました。
47都道府県で、39円~47円の引き上げが予定されています。

愛知県は、986円から41円アップの1,027円に引き上げられる予定になっています。
※10月1日から

詳細については、下記アドレス厚生労働省ホームページで確認できます。
令和5年度最低賃金額答申|厚生労働省 (mhlw.go.jp)


​​
2023年08月28日 14:30

雇用契約の締結により発生する権利と義務は

雇用契約(労働契約)とは、「労働者が使用者に使用されて労働を提供し、使用者が労働者に賃金を支払う。」 ことを不可欠とする契約です。
つまり、労働者には労働義務、使用者には賃金支払義務が法的義務として発生します。

雇用契約を締結すると、使用者および労働者には、前記以外にも様々な権利義務が発生します。

使用者・労働者共通

信義誠実の原則
 相手方の信頼を損なうような行動をしてはならない。

権利濫用の戒め
 権利の行使にあたっては、それを濫用してはならない。


労働者の義務

誠実労働義務(職務専念義務)
 労働者は、雇用契約の合意内容の枠内で、使用者の指揮命令に従って誠実に労働しな
 ければならない。職務に専念しなければならない。

職場(企業)秩序遵守義務
 労働者は、職場(会社)の秩序を乱さないよう行動しなければならない。

守秘義務・競業避止義務
 労働者は、業務上知り得た使用者の営業秘密や企業秘密などをその承諾なく使用・
 開示してはならない。
 使用者の事業と競合する事業を行ってはならない。


使用者の権利義務

業務命令権
 使用者が雇用契約の締結によって取得した労働者の労働力を利用・処分する権限

人事権
 労働者の配置、異動、昇進、人事考課など労働者の地位や処遇に関する決定権限

職場(企業)秩序定立権
 組織的労働の円滑な遂行のために、組織としての規律・秩序を設定し、それを維持
 
する権限

安全配慮義務
 労働者が使用者の指揮命令の下に労働を提供する過程において、労働者の生命および
 身体を危険から守るよう配慮
すべき義務

職場環境配慮義務
 労働者が職場で快適に働けるよう、職場環境を整備・保持しなければならない義務(セクハラ・パワハラなどが起こらないように)


以上の権利義務は、就業規則や雇用契約書に記載がなくても、雇用契約の締結によって付随して発生する権利義務です。就業規則等に書かれてないからといって義務を免れるものではありません。

就業規則の服務規定は、労働者の義務である誠実労働義務、職場秩序遵守義務、守秘義務・競業避止義務を具体的に記載したものと言えます。服務規定はとても大事な規定なのですが、あまり関心がないように見受けられるケースがあります。就業規則の内容は法的義務になりますので、しっかり関心を持って規定を作っていってください。

従業員数9名以下だと就業規則の作成義務はありませんが、服務に関するルールを定めた「職場のルール」を作成し、従業員の義務を明確にし明示することは秩序ある職場の維持に効果的な手段であります。最近は、自分の権利ばかり主張し、義務をきちんと果たさない労働者も増えてきています。※ネット等で権利についてすぐ調べられる時代のため

 
2023年03月31日 10:30

休日出勤や残業と所定労働時間の労働は相殺できません。(給与計算に注意)

所定労働時間が1日8時間、休日が土曜・日曜の会社で、土曜日に休日出勤し8時間労働した従業員に、翌週の月曜日に代休を与えた場合、給与計算の処理はどのように行うべきなのでしょうか。

土曜日に労働させた分、月曜日に休みを与えたので、都合トータルの労働時間は変わらないため、休日出勤に関する手当は全く不要なのでしょうか。

このケースの場合、休日出勤した週は月曜から金曜までに、すでに8時間×5日=40時間労働していて、土曜日の労働は週40時間を超えた労働になるため、割増賃金の支払いが必要になります。法律上、1日については8時間、週については40時間を超えた労働について割増賃金の支払いが必要なためです。

土曜日の休日出勤分・・・1時間あたり賃金×1.25×8時間 の支払い
月曜日の休み分・・・・・1時間あたり賃金×8時間     の控除

この2つの計算式を相殺すると結局、1時間あたり賃金×0.25×8時間分の手当の支払いが必要なことになります。

0.25分の支払いをしていない場合は、労働基準法違反になるため注意してください。

ただし、休日出勤した週に休日を与えた場合は、その週の労働時間は40時間になるため、手当の支払いは不要になります。


また、残業が長時間になったため、その時間分翌日の始業時刻を遅らせた場合(終業時刻はそのまま)も上記同様になります。

例えば、4時間分の残業代は、1時間あたり賃金×1.25×4時間になりますが、翌日4時間労働を免除した分は、1時間あたり賃金×4時間の控除になるため、0.25×4時間分の残業代の支払いが必要になります。支払いをしていない場合は、労働基準法違反になりますので注意してください。

 
2023年03月20日 11:45

入社前研修に賃金の支給は必要か

新卒採用者などに入社日前に研修を行うことがありますが、このような場合であっても、その時間が労働時間に該当する場合は、賃金の支払いが必要になります。

労働時間とは、使用者の指揮命令下にあって、労務提供のために拘束されている時間のことををいいます。
よって、入社前研修についても、使用者の支配下にあって、一定の場所に、一定の時間一定の労務提供目的のために拘束されている場合は労働時間に該当します。

より分かりやすく言うと、研修内容が業務に関連するもので、研修に参加することが業務命令として強制されていれば労働時間に該当しますし、自由参加で出席しないことについて何ら不利益がないのであれば労働時間には該当しません。

そして、労働時間に該当する場合は、賃金の支給が必要になりますが、その賃金は、最低賃金以上の金額であればいくらでも問題ありません。

支給金額としては、次のようなものが考えられます。

・入社後の給与を基準にした金額
・研修手当として全員一律の金額
・アルバイトとして時給計算

なお、研修時間が1日8時間を超える場合は、超えた時間について、通常の時間外勤務同様に割増賃金の支給が必要です。

初めから8時間を超えるカリキュラムを組むのであれば、その時間分も含めた賃金である旨を明示して支給することでも差し支えありません。


 
2023年01月12日 10:21

給与計算における欠勤控除の計算方法(長期欠勤の場合の対応方法)

給与計算における欠勤控除の計算方法には、2つの方法があります。

① 1年間を平均した1月あたりの所定労働日数を基に計算

② その月の実際の所定労働日数を基に計算

①を採用している企業が多数です。その理由としては、給与計算が楽で、欠勤控除の金額が月にかかわらず一定である、などです。

ただし、①の場合、不都合なケースも発生します。

例えば、月平均所定労働日数が20日で、実際の所定労働日数が21日の月に1日だけ出勤し、20日欠勤した場合などです。

欠勤1日につき20分の1を控除するため、20日欠勤すると20分の20控除となり、給与はゼロになってしまいます。
実際は1日出勤しているのに、ゼロはおかしいのではと思われます。

このような場合は、欠勤控除による計算方法ではなく、日割り計算(1日あたり賃金額×出勤日数)で給与を計算する方法がよいでしょう。

例えば、月10日までの欠勤は欠勤控除で計算し、月11日以上の欠勤は日割りで計算するとして使い分けると良いと思います。
10日で使い分けるのか、もっと多い日にち(15日など)にするのかは検討してください。


また、欠勤日数が多い月の通勤手当については、
給与規程などに、「月20日以上欠勤した場合は、支給しない」、「月10日欠勤した場合は、日割り計算する」などと記載していれば、減額や不支給にすることは可能です。
このような記載がなければ、全額支給する必要があります。
 
2022年11月04日 11:23

松田博史社会保険労務士事務所

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