松田博史社会保険労務士事務所

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雇用保険法が改正されます。

令和7年4月1日の改正

自己都合により退職した場合の給付制限期間が、2ヶ月 1ヶ月 に短縮されます。

出生後休業支援給付と育児時短就業給付という給付金が新設されます。

  出生後休業支援給付は、出生後の一定期間内に本人と配偶者の両方14日以上の育児休業を取得する
  場合に、支給されます。

  育児時短就業給付は、被保険者が2歳未満の子を養育するための短時間勤務をしている期間中、支払わ
  れた賃金の最大10%が支給されます。


令和10年10月1日の改正

・雇用保険の加入要件が、週20時間以上 →  週10時間以上 に変更されます。


 
2024年06月28日 14:35

仕事中の交通事故(労災保険と自賠責保険)

従業員が仕事中通勤途中交通事故に遭った場合は、労災保険治療費休業補償給付を請求することができます。また、相手の自賠責保険治療費休業損害等の賠償を請求することもできます。ただし、同一の事由で労災保険と自賠責保険の両方に請求することはできません。

つまり、治療費を労災保険と自賠責保険の両方に請求することはできませんが、治療費を労災保険に請求して、休業損害を自賠責保険に請求することは可能です。

それぞれの保険の特徴は、次のとおりです。

労災保険

療養給付として、治療費の全額が支給される。(治療費の支払いが不要)
休業給付として、仕事を休んだ4日目から給与の60%が支給される。
 また、特別支給金として給与の20%が支給され、合わせて給与の80%が支給される。

自賠責保険

・自賠責保険からの支払いは120万円までと限度額がある。
・治療費、休業損害(100%支給)だけでなく慰謝料等も支給される。
・自賠責での治療は自由診療扱いになるため、治療費は労災保険の2倍ぐらいになる。
 (保険金はすぐにはもらえないため、一旦治療費の支払いが必要になる。)
・労災保険より請求手続が簡単である。
・120万円を超える場合は、相手が任意保険に加入していれば、任意保険から支給を受けることが
 できる。ただし、事故に遭った従業員に過失がある場合は、過失相殺され金額が減額される。


では、どちらの保険に請求するのがよいのでしょうか。
実際に事故に遭った場合、まずは治療費が必要になりますが、治療費は労災、自賠責どちらを使ったほうがよいのか見ていきましょう。

具体例1

治療費   30万円(自賠責であれば60万円)
休業損失  40万円
慰謝料等  10万円

自賠責で治療しても休業損害、慰謝料等を含め110万円で120万円以内となるため、すべてを自賠責保険に請求しても損害の全額を受けることができます。
また、治療費は労災保険を使い、残りを自賠責保険に請求しても全額の補償を受けることができます。

損害総額が120万円以内で収まりそうなときは、治療費はどちらを使っても残りの損害金額の全額の補償を受けることができます。

一般的には、請求手続が簡単な自賠責保険に請求することが多いと思われます。


具体例2

治療費  60万円(自賠責であれば120万円)
休業損失 60万円
慰謝料等 20万円

自賠責で治療すると、治療費だけで120万円を使い切ってしまうため、労災保険から休業損失の80%の48万円を受け取り、休業損失の残り12万円と慰謝料等は受けとることができなくなってしまいます。つまり、損害総額のうち32万円がもらえなくなってしまいます。そこで、治療費はまず労災保険を使い、残りは自賠責保険を使えば、損害の全額を受け取ることができます。

一般的には、治療費が高額になり、損害総額が120万円を超えそうな時は、治療費は労災保険を使い金額を抑えておくことが多いと思います。


事故の相手が任意保険に加入していて、被災労働者の過失が0%であれば、損害額にかかわらずすべて相手の保険を使えばよいのですが、任意保険に加入していなかったり、加入していても被災労働者に過失がある場合は、損害額を全額(できるだけ多く)受け取れるよう、労災保険と自賠責保険をどう組み合わせて使うことがベストな選択かをよく考えて請求するとよいです。

 
2024年05月31日 14:33

令和6年4月からの在職老齢年金(働いている場合の年金は)

令和6年4月から、働きながら年金をもらう人の支給停止調整額が48万円から50万円に引き上げられました。よって、年金が支給停止になるかどうかの計算式は、次のとおりとなります。

■基本月額+総報酬月額相当額=50万円以下  →  年金は全額支給

■基本月額+総報酬月額相当額=50万円超   →  年金は一部または全部支給停止
 
  支給停止額(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2

基本月額とは・・・・・・・加給年金を除いた老齢厚生年金の月額 
             ※老齢基礎年金は、支給停止の対象外全額支給される
総報酬月額相当額とは・・・その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の合計÷12
             
を足したもの


例① 基本月額20万円、総報酬月額相当額36万円の場合、
    支給停止額は、(20万円+36万円-50万円)÷2=3万円 
    よって、老齢厚生年金は20万円-3万円=月額17万円支給される。


例② 基本月額18万円、総報酬月額相当額30万円の場合、
    18万円と30万円の合計は50万円以下のため、 
    老齢厚生年金は月額18万円全額支給される。

 
2024年04月01日 09:00

雇用保険の法改正予定について

雇用保険の加入対象者が、現在の「週20時間以上」から「週10時間以上」へ拡大される方向で、厚生労働省が法改正案をまとめました。2024年通常国会に法案を提出し、2028年度中の実施を予定しています。

また、雇用保険の失業給付の給付制限について、自己都合退職の場合の給付制限を、現在の「2ヶ月」から「1ヶ月」へ短縮する方向です。同様に法案を提出し、2025年度の実施を目指しています。


 
2024年03月25日 15:00

令和6年度の雇用保険料率

令和6年度(令和6年4月1日から令和7年3月31日)の雇用保険料率は、令和5年度と同じで変更はありません。
 
  労働者負担 事業主負担 雇用保険料率
一般の事業 6/1000 9.5/1000 15.5/1000
建設業 7/1000 11.5/1000 18.5/1000

厚生労働省の関係資料はこちらから

 
2024年02月29日 17:46

2024年12月2日に健康保険証は廃止されます。

2024年(令和6年)12月2日、健康保険証の新規発行が停止されることが
決定しました。マイナンバーカードと保険証が一体となったマイナ保険証への移行
が進められます。

経過措置として、廃止後1年間は、現行の健康保険証は利用可能です。

また、マイナ保険証を持っていない人には、医療機関で診察を受けれるよう
資格確認書(有効期間5年)が発行されます。
※資格確認書の発行手続のための申請は不要(郵送されてくる)
 
2024年01月31日 11:25

令和5年度の労働保険年度更新の申告書の作成について

昨年度は、雇用保険料率が前期と後期で異なったため、今年度の確定保険料を算出する場合、労災保険・雇用保険とも、前期と後期に分けて賃金を集計する必要があります。

1. 年間の賃金総額を算出する。
 ①前期( 4月~9月の給与、及びこの期間の賞与)
 ②後期(10月~3月の給与、及びこの期間の賞与)

 ①②それぞれの合計額の千円未満を切り捨てた金額を足した結果が、確定保険料の
 算定基礎額
(申告書㉜欄合計イ+ロ、ヘ+ト)になります。


2. 確定保険料額を算出する。
 1.で算出した算定基礎額(申告書㉜欄イ、ロ、ヘ、ト)に、それぞれの保険料率を
 掛けた結果が確定保険料額(申告書㉜欄ニ、ホ、ヌ、ル)になります。
 この計算結果の円未満の端数については、切り捨てを行わず、そのまま使用します。

 そして、切り捨てしていない前期と後期の数字を足してから(申告書㉜欄合計ニ+
 ホ、ヌ+ル)、円未満の端数を切り捨てした数字が年間の確定保険料額(申告書
 ➉欄ロ、ホ)になります。


● その他
 一般拠出金の算定基礎額(申告書⑧欄ヘ)は、前期と後期の賃金を足した数字の円
 未満の端数を切り捨てした金額になります。

 足してから切り捨てするため、確定保険料の算定基礎額(申告書⑧欄ロ)とは、千円
 違ってくる
ことがありますが、これは問題ありませんので、千円違う数字で一般
 拠出金の計算
をしてください。

 概算保険料の算出方法と期別納付額の計算は、従来どおりです。


     例年とは算出方法が異なりますので、注意して作成ください。

 
2023年05月30日 13:53

賞与支給月に退職する場合の社会保険料控除と賞与支払届

賞与支給月の末日以外に退職した場合
 ・社会保険料の控除は不要

 ・ただし、退職日が賞与支給日より後の場合、賞与支払届に支給額を記載し届出
  する必要あり
(社会保険料控除は不要)
  ※退職日までに支給された賞与は、累計標準賞与額(上限573万円)の対象に
   なるため

 ・退職日が賞与支給日より前の場合、賞与支払届の届出不要


与支給月の月末に退職した場合
 ・社会保険料の控除は必要、賞与支払届の届出も必要


例えば、賞与支給日が7月15日のケースの場合

退職日 7月10日  社会保険料控除不要  賞与支払届不要
退職日 7月20日  社会保険料控除不要  賞与支払届必要
退職日 7月31日  社会保険料控除必要  賞与支払届必要


控除し忘れてしまった、控除不要なのに控除してしまった、賞与支払届に記載し忘れてしまったなど、間違えないよう注意してください。
 

2023年04月26日 13:35

産休と一般的な育児休業(期間、出産手当金、育児休業給付金、保険料免除)

産休は、出産日前と出産日後に分かれています。

 産前休業・・・出産予定日の42日(6週間)前から出産日まで
 産後休業・・・出産日の翌日から56日(8週間)後まで

実際の出産日が予定日と前後した場合は、産前産後休業の期間も前後します。
予定日より遅れた場合、遅れた日数は産前休業になります。よって、産前休業の日数は42日+遅れた日数になります。

予定日より早かった場合、産前休業の日数は、42日-早かった日数になります。
いずれの場合も、産後休業は、出産日の翌日から始まります。

会社は、産前休業については、請求をされた場合に与える必要があります。請求がなければ与えなくても違法ではありません。

産後休業は、請求の有無にかかわらず、与える必要があります。
ただし、6週間を経過し、本人が希望した場合に、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。

出産手当金
産前産後休業中は、社会保険に加入している場合、社会保険(協会けんぽ)から出産手当金が支給されます。
金額は、支給開始以前12ヶ月の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2×産前産後休業日数


育児休業
産後休業終了日の翌日から子の1歳の誕生日の前日までの申請した期間
(保育園に入れない等の事情により1歳半、2歳まで延長可能

育児休業給付金
育児休業中は、雇用保険に加入している場合、雇用保険(ハローワーク)から育児休業給付金が支給されます。

金額は、最初の180日・・・休業開始時賃金日額×30日×67%
    181日以降・・・・休業開始時賃金日額×30日×50%

休業開始時賃金日額とは、産休前6ヶ月の給与の合計額を180日で割ったもの


産前産後休業中および育児休業中は、申請により社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は会社負担・本人負担とも免除されます。

期間は、産前産後休業を開始した月から育児休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間が対象です。産前産後休業期間中の免除申請と育児休業期間中の免除申請と2回申請する必要があります。

雇用保険料は、給与支給額×雇用保険料率で計算するため、給与がゼロならゼロ円になります。

 
2023年01月31日 11:45

給与計算における社会保険料の控除(入社時・退職時は注意)

被保険者(従業員)が負担する社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月分まで発生し、事業主は、毎月の給与から前月分の保険料を控除します。
(健康保険法167条、厚生年金保険法84条)

つまり、例えば、10月に支給する給与から控除されている保険料は、9月分の保険料ということになります。

また、毎月の保険料は月単位で計算されるため、月の途中で被保険者資格の取得や喪失があった場合でも、保険料を日割計算することはありません。

つまり、例えば、9月1日に加入しても、9月25日に加入しても、保険料は同じ金額になります。退職時も同様ですが、退職日が月の途中の場合は、その月の保険料は発生しませんが、退職日が月末の場合は、その月分まで保険料が発生します。

具体例でみていきます。

【10日締め、25日支給の場合】

9月 1日加入 → 10月25日支給の給与から保険料控除開始
          (9月25日の給与は保険料控除なし
9月11日加入 → 10月25日支給の給与から保険料控除開始
9月21日喪失(9月20日退職)→  9月25日の給与での保険料控除が最後
                   (10月25日の給与は保険料控除なし
10月1日喪失(9月30日退職)→ 10月25日の最終給与まで保険料控除

【月末締、翌月15日支給の場合】

9月 1日加入 → 10月15日支給の給与から保険料控除開始
9月11日加入 → 10月15日支給の給与から保険料控除開始
9月21日喪失(9月20日退職)→  9月15日の給与での保険料控除が最後
                   (10月15日の給与は保険料控除なし
10月1日喪失(9月30日退職)→ 10月15日の最終給与まで保険料控除


賞与にかかる保険料は、支給の都度控除します。ただし、賞与支給月に退職する場合、月の途中での退職は、保険料を控除しなくてよいです。
退職日が月末の場合は、賞与から保険料を控除します。

 
2022年11月29日 15:25