松田博史社会保険労務士事務所

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2025年1月の記事:

年間休日を増やした場合の割増賃金単価の変更時期は

会社の年間休日年の途中で増やした場合、残業代などを計算するための割増賃金の単価はいつから変更すべきなのでしょうか。

時間外労働等に対する割増賃金の単価は、月によって定められた賃金÷1年間の月平均所定労働時間数 により求めます。

例えば、1日の所定労働時間が8時間、現在の年間休日が110日とすると、月平均所定労働時間は、

(365日-110日)×8時間÷12ヵ月=170時間

となります。そして、年間休日を10日増やして、120日にすると仮定すると、

(365日-120日)×8時間÷12ヵ月=163.3時間

となります。

そして、月給30万円の場合、これまでは、30万円÷170時間=1,764.70円 であった1時間あたりの単価が、30万円÷163.3時間=1,837.10円 に上がり、残業1時間あたりの金額は、
2,206円から2,297円に、91円上がることになります。

この91円上がった新しい単価での残業代計算は、いつから実施すべきなのでしょうか。
仮に、10月に休日を増やした場合、いつから新しい単価で残業代等を計算すればよいのでしょうか。
10月からなのでしょうか。それとも、1月まで遡って計算し直さなければならないのでしょうか。

会社の休日に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項のため、休日が変更になった場合は、休日についての就業規則の記載を変更し、従業員代表の意見書を添付して労働基準監督署へ届け出て、変更後の就業規則を従業員に周知する必要があります。

そのときに、変更後の就業規則の一番最後に記載する付則等に、

「本改正は、令和7年10月1日から適用する。」

と記載し、9月下旬までに従業員に周知すれば、休日の変更に関する就業規則の効力は、10月1日から発生することになりますので、割増賃金単価の変更10月1日から実施すればOKです。1月まで遡って変更する必要は全くありません。ご安心ください。

 
2025年01月29日 13:30

36協定(時間外・休日労働に関する協定届)に関する注意事項

36協定(正式名称:時間外・休日労働に関する協定届)とは、1日の労働時間が8時間を超える場合、または週の労働時間が40時間を超える場合に、労働基準監督署に届け出ることによって、これらの時間を超えて労働させても労働基準法違反に問われることはなくなるための届出書類です。

つまり、1日8時間、週40時間を超えて労働することがある事業所は、必ず届出が必要ということになります。超えることは絶対にない事業所については、届出の必要はありません。

この36協定では、1日、1ヶ月、1年について、それぞれ延長することができる時間数(時間外労働時間)を記載します。

1日については、特に法的上限はありませんので、何時間と記載してもOKです。徹夜勤務を想定して15時間(24時間-所定労働時間8時間-休憩1時間)と記載することも可能です。
1ヶ月については、完全週休2日制の場合は、原則最大45時間が上限になります。
1年については、完全週休2日制の場合は、原則最大360時間が上限になります。


〇36協定には、法定労働時間(8時間)を超えて時間外労働させることができる時間数を記載します。よって、所定労働時間が8時間の事業所の場合は、法定労働時間イコール所定労働時間のため分かりやすいのですが、所定労働時間が8時間より短い事業所については、少し分かりにくいかもしれません。

例えば、所定労働時間が7.5時間の場合、

ある日に8時間労働した。 → 会社としては、残業0.5時間とカウント → 36協定上(労働基準法上)は、残業ゼロ
ある日に9時間労働した。 → 会社としては、残業1.5時間とカウント → 36協定上(労働基準法上)は、残業1時間

このように、会社でいう残業時間と36協定上の残業時間が異なります
時々、この事を理解しておらず、残業時間が上限を超えてしまったと相談がありますが、所定労働時間が8時間より短い事業所の場合は、36協定上の時間に、所定労働時日数×8時間より短い時間数を足した時間数まで残業可能なので、安心してください。

例えば、1ヶ月45時間と36協定に記載、所定労度時間7.5時間、所定労働日数20日の場合、
36協定上の時間外労働上限45時間+(所定労働日数20日×(8時間-7.5時間)=55時間
までの残業時間が協定の範囲内となります。


〇45時間の時間外労働が1ヶ月あたりの上限だからといって、毎月45時間時間外労働させることはできませんので、注意してください。なぜなら、年間の時間外労働の上限は360時間だからです。
 45時間×12ヶ月=540時間>360時間
年間360時間以内に収めるには、月30時間平均でなければなりません。40時間の月があった場合、
20時間の月も必要になってきます。


36協定上(労働基準法上)の休日労働とは、会社として法定休日を決めていない場合は、例えば会社休日の土日の両方に休日出勤した場合のいずれかの日の労働時間になります。法定休日は日曜と決まっている場合は、日曜の労働時間が休日労働となります。(法定休日とは、労働基準法に基づき、会社が労働者に必ず与えなければならない休日です。少なくとも週に1日の休日を与えることが義務付けられています。法定休日以外の休日は、法定外休日といいます。)

この法定休日に、労働者に労働させる可能性がある場合は、36協定の休日労働に関する記載欄も記載する必要があります。


 
2025年01月10日 13:05