松田博史社会保険労務士事務所

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2025年4月の記事:

休日出勤命令と有給休暇の申請

会社の所定休日に休日出勤を命じたところ、ある社員が有給休暇を申請してきました。この有給休暇の取得を認めなければならないのでしょうか?

会社が休日出勤を命じる前提として、就業規則等休日出勤についての定めがあることが必要です。また、その休日出勤日が、労働基準法上の法定休日に該当するのであれば、労働基準法第36条に基づく、いわゆる三六協定の締結と所轄労働基準監督署への届出も必要です。

 法定休日の休日出勤命令・・・・・上記の二つを満たすことで、休日出勤命令は法的に有効
 法定休日以外の休日出勤命令・・・就業規則等への定めのみで法的に有効

 ※法定休日とは、一般的には、土日休みの週の日曜日、日曜休みの週の日曜日

それでは、その日に有給休暇の休暇を申請された場合、会社はどのような対応をすればいいのでしょうか?

 有給休暇・・・従業員が休暇の取得を請求することで、労働義務がある日(出勤日)の労働義務が
        免除
され、その日は労働しなくてかまわない日になる。そして、その日の給与は支給
        
される。

 休日・・・・・会社の所定休日として、もともと労働義務が免除されていて労働する義務がない日
        
をいう。

労働義務が免除される(されている)点では、どちらも同じですが、有給休暇は、労働義務がある日の労働を免除して、労働者の休養日を増やすことが目的のため、労働義務のない休日の日に有給休暇を取得することを、労働基準法は予定していません。そして、休日出勤命令により休日労働する日は、あくまで休日のままなので、休日に有給休暇を取得することは、法的に不可能なのです。あくまで休日であるため「休日出勤」と言い、その日の労働に対して割増賃金の支払いを労働基準法は義務付けています。

よって、休日出勤を命じた日に対する有給休暇の取得申請については、認める法的義務はありません

ただし、時間外労働・休日労働に関する三六協定の締結と労働基準監督署への届出がされていない場合は、法定休日の日の休日出勤命令自体が法的に無効となるため、有給休暇の申請どうこうという問題ではなく、もともと休日のため休んでも問題なし、ということになります。


 
2025年04月09日 14:25

令和7年4月からの在職老齢年金

令和7年4月から、働きながら年金をもらう人の支給停止調整額が50万円から51万円に引き上げられました。よって、年金が支給停止になるかどうかの計算式は、次のとおりとなります。

■基本月額+総報酬月額相当額=51万円以下  →  年金は全額支給

■基本月額+総報酬月額相当額=51万円超   →  年金は一部または全部支給停止
 
  ※支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2

基本月額とは・・・・・・・加給年金を除いた老齢厚生年金の月額 
             ※老齢基礎年金は、支給停止の対象外全額支給される

総報酬月額相当額とは・・・その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の合計÷12
             
を足したもの


例① 基本月額20万円、総報酬月額相当額37万円の場合、
    支給停止額は、(20万円+37万円-51万円)÷2=3万円 
    よって、老齢厚生年金は20万円-3万円=月額17万円支給される。


例② 基本月額18万円、総報酬月額相当額30万円の場合、
    18万円と30万円の合計は51万円以下のため、 
    老齢厚生年金は月額18万円全額支給される。
 
2025年04月01日 14:14