松田博史社会保険労務士事務所

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産休と一般的な育児休業(期間、出産手当金、育児休業給付金、保険料免除)

産休は、出産日前と出産日後に分かれています。

 産前休業・・・出産予定日の42日(6週間)前から出産日まで
 産後休業・・・出産日の翌日から56日(8週間)後まで

実際の出産日が予定日と前後した場合は、産前産後休業の期間も前後します。
予定日より遅れた場合、遅れた日数は産前休業になります。よって、産前休業の日数は42日+遅れた日数になります。

予定日より早かった場合、産前休業の日数は、42日-早かった日数になります。
いずれの場合も、産後休業は、出産日の翌日から始まります。

会社は、産前休業については、請求をされた場合に与える必要があります。請求がなければ与えなくても違法ではありません。

産後休業は、請求の有無にかかわらず、与える必要があります。
ただし、6週間を経過し、本人が希望した場合に、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。

出産手当金
産前産後休業中は、社会保険に加入している場合、社会保険(協会けんぽ)から出産手当金が支給されます。
金額は、支給開始以前12ヶ月の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2×産前産後休業日数


育児休業
産後休業終了日の翌日から子の1歳の誕生日の前日までの申請した期間
(保育園に入れない等の事情により1歳半、2歳まで延長可能

育児休業給付金
育児休業中は、雇用保険に加入している場合、雇用保険(ハローワーク)から育児休業給付金が支給されます。

金額は、最初の180日・・・休業開始時賃金日額×30日×67%
    181日以降・・・・休業開始時賃金日額×30日×50%

休業開始時賃金日額とは、産休前6ヶ月の給与の合計額を180日で割ったもの


産前産後休業中および育児休業中は、申請により社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は会社負担・本人負担とも免除されます。

期間は、産前産後休業を開始した月から育児休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間が対象です。産前産後休業期間中の免除申請と育児休業期間中の免除申請と2回申請する必要があります。

雇用保険料は、給与支給額×雇用保険料率で計算するため、給与がゼロならゼロ円になります。

 
2023年01月31日 11:45

給与計算における社会保険料の控除(入社時・退職時は注意)

被保険者(従業員)が負担する社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月分まで発生し、事業主は、毎月の給与から前月分の保険料を控除します。
(健康保険法167条、厚生年金保険法84条)

つまり、例えば、10月に支給する給与から控除されている保険料は、9月分の保険料ということになります。

また、毎月の保険料は月単位で計算されるため、月の途中で被保険者資格の取得や喪失があった場合でも、保険料を日割計算することはありません。

つまり、例えば、9月1日に加入しても、9月25日に加入しても、保険料は同じ金額になります。退職時も同様ですが、退職日が月の途中の場合は、その月の保険料は発生しませんが、退職日が月末の場合は、その月分まで保険料が発生します。

具体例でみていきます。

【10日締め、25日支給の場合】

9月 1日加入 → 10月25日支給の給与から保険料控除開始
          (9月25日の給与は保険料控除なし
9月11日加入 → 10月25日支給の給与から保険料控除開始
9月21日喪失(9月20日退職)→  9月25日の給与での保険料控除が最後
                   (10月25日の給与は保険料控除なし
10月1日喪失(9月30日退職)→ 10月25日の最終給与まで保険料控除

【月末締、翌月15日支給の場合】

9月 1日加入 → 10月15日支給の給与から保険料控除開始
9月11日加入 → 10月15日支給の給与から保険料控除開始
9月21日喪失(9月20日退職)→  9月15日の給与での保険料控除が最後
                   (10月15日の給与は保険料控除なし
10月1日喪失(9月30日退職)→ 10月15日の最終給与まで保険料控除


賞与にかかる保険料は、支給の都度控除します。ただし、賞与支給月に退職する場合、月の途中での退職は、保険料を控除しなくてよいです。
退職日が月末の場合は、賞与から保険料を控除します。

 
2022年11月29日 15:25

健康保険(協会けんぽ)の被扶養者の範囲と年収要件

健康保険(協会けんぽ)の被扶養者になれる扶養家族の範囲

1.被保険者の配偶者、子、孫、父母、祖父母、曾祖父母、兄弟姉妹で、主として
  被保険者の収入によって生計を維持している人

2.被保険者のおじおば、おいめい、配偶者の父母など三親等内の親族で、被保険者と
  一緒に生活
していて、主として被保険者の収入により生計を維持している人

1.は生計維持要件だけですが、2.には生計維持要件プラス同居要件があります。
1.2.とも、日本国内に住所がある人という要件もあります。


〇生計維持の基準

・被扶養者(認定対象者)が同居している場合
 → 認定対象者の年収が130万円未満で、かつ被保険者の年収の半分未満であること

・被扶養者(認定対象者)が同居していない場合
 → 認定対象者の年収が130万円未満で、かつ被保険者からの仕送額より少ないこと

 ※60歳以上の場合は、130万円ではなく180万円未満

 年収には、給与の他、年金(老齢・障害・遺族すべて対象)、失業給付、
 傷病手当金等も含まれます。

 年収とは、過去の収入ではなく、扶養に該当する時点以降1年間の見込み収入
 
(未来に向かってのもの)になります。


○失業給付の計算

1日あたりの失業給付の額×365日 で計算した額が年収になります。

1日あたり3,612円以上の失業給付を受給していると、受給中は扶養家族にはなれません国民健康保険に加入することになります。
ただし、2ヶ月(3ヶ月)の給付制限期間中、および失業給付をすべて受給後、引き続き無職の場合は、その期間については扶養家族になることができます。


 
2022年11月18日 11:58

令和4年10月から雇用保険料率が変更になります。

令和4年10月1日から、下記のとおり雇用保険料率が変更になります。
そのため、10月1日を含む給与計算期間から、雇用保険料率を変更して給与計算を行うことになります。

例えば、

10日締めの場合 → 10月10日締め分から変更
15日締めの場合 → 10月15日締め分から変更
月末締めの場合    → 10月31日締め分から変更

 
  労働者負担 事業主負担 雇用保険料率
一般の事業 5/1000 8.5/1000 13.5/1000
建設業 6/1000 10.5/1000 16.5/1000
2022年09月21日 14:02

退職後の健康保険

退職後の健康保険の選択肢は3つあります。

① 家族の健康保険の被扶養者になる
  ・年収130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)であること
  ・保険料はかからない。(0円)
  ・雇用保険の基本手当(失業手当)受給中は、その金額によりますが扶養になれない
   
ケースが多い。ただし、給付制限期間中は扶養になれる。

② 任意継続被保険者になる
  ・退職前に健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること
  ・資格喪失後20日以内に本人が自分で手続すること
  ・最大2年間加入できる。
  ・保険料は、退職時の標準報酬月額と協会けんぽ加入者の平均標準報酬月額(30万円
   の低いほうに保険料率をかけて計算される。
   ※当然会社負担はなく全額自己負担になる。
    (標準報酬月額が30万円以下だった場合は、退職時の2倍になる。)

③ 国民健康保険に加入する
  ・保険料は前年の所得を基に計算される。※計算方法は、市町村により異なる。
  ・手続は自分で行う。


①~③いずれを選択したとしても、国民年金への加入は必須です。
 
2022年08月18日 16:27

社会保険の随時改定(月額変更届の提出)

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入している従業員の給与が昇給や降給により大幅
に変動
した場合は、月額変更届を提出しなければなりません。
これを提出することで標準報酬月額の改定が行われることを随時改定といいます。

随時改定の要件
固定的賃金の変動、または給与体系の変更があった
・変動月以降の連続した3ヶ月間について、すべての月の報酬支払基礎日数が17日以上
  である
・連続した3ヶ月間の給与の平均額が、現在の標準報酬月額と比べ2等級以上変動した

この3項目すべてを満たす場合、月額変更届の提出が必要です。

例えば、4月に昇給し、4~6月の給与平均額が2等級以上上がる場合は、7月分の標準報酬月額から変更になります。

固定的賃金とは
 基本給、役職手当、家族手当、通勤手当、日給・時間給など

非固定的賃金とは
 残業手当、皆勤手当など

給与体系の変更とは
 給与が時間給から月給に変わった、これまで支給されていなかった手当を支給することに
 なったなど

支払基礎日数とは
 日給・時間給の場合は、出勤日数
 月給の場合は、暦日数
 日給月給の場合は、月平均所定労働日数-欠勤日数


【随時改定に該当するケース】
・固定的賃金が上がった → 総支給額が2等級以上上がった  ⇒ 該当
・固定的賃金が下がった → 総支給額が2等級以上下がった  ⇒ 該当
・固定的賃金が上がった → 総支給額が2等級以上下がった  ⇒ 非該当
・固定的賃金が下がった → 総支給額が2等級以上上がった  ⇒ 非該当

昇給により固定的賃金が上がったが、その月から3ヶ月間は残業手当が減ったため、給与の総支給額としては2等級下がってしまった場合は、随時改定に該当しません。

残業手当の増加によって総支給額が2等級以上上がった場合でも、固定的賃金が変動していなければ、随時改定には該当しません。

 
2022年06月15日 09:38

令和4年度労働保険の年度更新の注意点

例年は、前年度の確定賃金の総額と同額を概算保険料の賃金総額の見込額として概算保険料を計算しますが、令和4年度は、雇用保険料率前期後期で異なります。そのため、労働保険の年度更新の概算保険料の計算が例年と異なるため注意が必要です。

1.前年度の賃金総額の2分の1の額に前期の料率、後期の料率をそれぞれ乗じて得た額を
  合算した額が雇用保険分の概算保険料になります。
2.賃金総額の2分の1の額に千円未満の端数が生じた場合は、前期の額を切り上げ、後期
  の額を切り捨てます。
3.前期および後期の概算保険料の額に1円未満の端数が生じた場合、この時点では切り
  捨てせず、その合算額に1円未満の端数が生じた場合に切り捨てます。

計算例
前年度の雇用保険対象分の賃金総額 54,151千円 の場合
  54,151円÷2=27,075.5千円

よって、
  前期見込額 27,076千円
  後期見込額 27,075千円

概算保険料は、
  27,076千円×1000分の9.5=257,222円
  27,075千円×1000分の13.5=365,512.5円

合算して、
  257,222円+365,512.5円=622,734.5円 → 622,734円 
                               ※雇用保険の概算保険料
 
2022年05月30日 14:45

令和4年4月からの在職老齢年金の見直し

令和4年4月から在職老齢年金が変わりました。
令和4年3月までは、65歳未満の人については、総報酬月額相当額と年金額の合計が28万円を超えると年金額の一部または全部が支給停止されていましたが、
令和4年4月から、65歳以上の人と同様、老齢厚生年金と総報酬月額相当額の合計47万円以下であれば、年金は支給停止されないように変更されました。

■基本月額+総報酬月額相当額=47万円以下  →  年金は全額支給

■基本月額+総報酬月額相当額=47万円超   →  年金は一部または全部支給停止
 
  ※支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

基本月額・・・加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額 
        ※老齢基礎年金は支給停止の対象外(全額支給される)
総報酬月額相当額・・・その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の合計÷12


例① 基本月額17万円、総報酬月額相当額36万円の場合、
   支給停止額は、(17万円+36万円-47万円)÷2=3万円 
   よって、老齢厚生年金は17万円-3万円=月額14万円支給される。


例② 基本月額16万円、総報酬月額相当額30万円の場合、
   16万円と30万円の合計は47万円以下のため、 
   老齢厚生年金は月額16万円全額支給される。
 
2022年04月25日 13:40

令和4年度雇用保険料率の変更

令和4年度から雇用保険料率が次のとおり変更されます。

令和4年4月1日~9月30日
  労働者負担 事業主負担 雇用保険料率
一般の事業 3/1000 6.5/1000 9.5/1000
建設業 4/1000 8.5/1000 12.5/1000


令和4年10月1日~
  労働者負担 事業主負担 雇用保険料率
一般の事業 5/1000 8.5/1000 13.5/1000
建設業 6/1000 10.5/1000 16.5/1000

 
2022年04月21日 08:08