松田博史社会保険労務士事務所

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2022年8月の記事:

解雇予告の注意点(トラブルにならないようにするには)

労働基準法では、従業員を解雇する際は、解雇予告を行うこととされています。
解雇予告の仕方は、3つあります。

① 解雇日の30日前までに本人に通告する。
   例えば、4月30日付で解雇する場合は、3月31日までに解雇予告をする。
        5月31日付で解雇する場合は、5月1日までに解雇予告する。

 平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払い、当日付で解雇する。
  
③ ①と②を併用する。(①+②=30日になるように)
   例えば、10日前に解雇予告し、その時に20日分の解雇予告手当を支払う。

・解雇予告手当は、解雇予告と同時に支払わなければいけません。
・解雇予告は、口頭でも構いませんが、のちに法的争いになった場合の客観的証拠となる
 ため、文書も渡しておくほうが賢明です。 
試用期間中の従業員であっても、入社から14日を超えている場合は、解雇予告
 必要です。
 試用期間中の解雇の場合は、解雇予告は必要ないと勘違いしているケースが見受けられ
 ますので注意してください。


解雇予告の除外認定
天災事変その他のやむを得ない事由により事業の継続が不可能になった場合や労働者の責めに帰すべき事由により解雇する場合は、労働基準監督署の認定を受ければ、解雇予告は不要になります。つまり、解雇予告手当を支払わず、即日解雇が可能になります。

ただし、除外認定は、書類の審査、従業員・関係者等へのヒアリング調査を行うため、申請から判断が出るまでに一定の時間を要します。そのため、実務的対応としては、上記①~③の解雇予告をすることがほとんどです。


 
2022年08月30日 14:00

退職後の健康保険

退職後の健康保険の選択肢は3つあります。

① 家族の健康保険の被扶養者になる
  ・年収130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)であること
  ・保険料はかからない。(0円)
  ・雇用保険の基本手当(失業手当)受給中は、その金額によりますが扶養になれない
   
ケースが多い。ただし、給付制限期間中は扶養になれる。

② 任意継続被保険者になる
  ・退職前に健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること
  ・資格喪失後20日以内に本人が自分で手続すること
  ・最大2年間加入できる。
  ・保険料は、退職時の標準報酬月額と協会けんぽ加入者の平均標準報酬月額(30万円
   の低いほうに保険料率をかけて計算される。
   ※当然会社負担はなく全額自己負担になる。
    (標準報酬月額が30万円以下だった場合は、退職時の2倍になる。)

③ 国民健康保険に加入する
  ・保険料は前年の所得を基に計算される。※計算方法は、市町村により異なる。
  ・手続は自分で行う。


①~③いずれを選択したとしても、国民年金への加入は必須です。
 
2022年08月18日 16:27

振替休日と代休の違いと割増賃金

労働基準法では、振替休日代休は、明確に区別されてます。しかし、法律上の代休のことを振替休日と言っていたりと、その区別が間違って運用されているケースが見受けられますので、注意してください。

振替休日
あらかじめ休日と定められている日を出勤日とし、その替わりに出勤日と定められている日を休日とすること。
振り替えられた休日がいつになるのか事前に決まっている

振替休日を実施するには、就業規則に休日を振り替えることがある旨の規定があり、事前に振り替える日を特定することが必要です。


代休
振替休日と違い、事前に休日と出勤日を振り替えることをせず、まず休日出勤をし、のちに出勤日と定められている日に休むこと。
※休日がいつになるのか事前に決まっていない。


〇それぞれの割増賃金の支払いは
振替休日の場合は、同じ週内での振り替えであれば、割増賃金の支払いは不要です。ただし、振り替えを別の週と行った場合は、休日出勤した週の労働時間が40時間を超えてしまうため、割増賃金の支払いが必要になります。

例えば、水曜日と翌週の土曜日を振り替えた場合(1日8時間労働、土日休みと仮定)、水曜日が休日になり、翌週土曜日が出勤日になります。すると翌週は、月から土曜まで8時間×6日=48時間労働になるため、土曜日の出勤について割増賃金の支払いが必要になります。※1日あたり給与が1万円の場合、2,500円を支給

代休の場合は、休日出勤した日について、割増賃金(休日出勤手当)を支払い、代休取得時に1日分の給与を控除することになります。※休日出勤手当12,500円を支給し、10,000円を控除、結果2,500円がプラス支給

いずれにより休日出勤をしたとしても、同一週内での振替休日でない限り割増賃金の支払いが必要になりますので注意してください。替わりに休日を与えたから割増賃金の支給は全く必要ないという認識は間違いです。

 
2022年08月09日 14:15