期間の定めのある雇用契約の雇い止め(トラブルにならないようにするには)
雇い止めとは、期間の定めのある雇用契約を期間満了によって終了させること言います。しかし、雇用期間に定めのある契約であるとはいえ、
・契約が更新されて、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっている場合
・期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態とまではいえなくても、雇用の継続について労働者が期待する利益に合理性がある場合
に該当する場合は、解雇法理の類推適用があるため、正社員の解雇と同様に客観的で合理的な理由が必要になります。
つまり、雇用契約を期間満了により終了させることが難しくなるということになります。
◎雇い止めの有効・無効のポイント
〇仕事内容
仕事の種類、内容、勤務形態が正社員とどの程度同一性があるか。業務の内容・責任が正社員より軽いなど正社員との違いが明確であることは、雇い止めを有効と判断する方向へ傾きます。
〇労働条件等
採用条件が緩い、採用手続が簡易、労働時間が短い、適用される就業規則が異なる、などは雇い止めを有効と判断する方向へ傾きます。
〇契約期間や更新についての説明
「長期間働いてください。」「期間の定めは形式的なものです。」などの労働者への発言は、雇い止めを無効と判断する方向へ傾きます。
〇契約更新手続
更新回数、通算勤務年数、契約更新時の手続の厳格性はどうであるか。
更新回数が多い、通算の勤務年数が長い、更新手続は簡易なものである、などは雇い止めを無効と判断する方向へ傾きます。
〇これまでの労働者の更新状況
勤務成績が悪い労働者については過去も雇い止めしてきた、などの実績があることは雇い止めを有効と判断する方向へ傾きます。
〇その他
前回契約更新時に、次回は更新しないことを合意していた。最初から更新回数に上限を設けていた。などは雇い止めを有効と判断する方向へ傾きます。
上記を総合的に判断し、裁判所は雇い止めの有効・無効を判断します。
2022年07月28日 10:50