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労務管理のあれこれ13

変形労働時間制とは

所定労働時間は、1週40時間・1日8時間以内と労働基準法法律に定められています。

この例外として、変形労働時間制という制度が法律で認められています。

 

変形労働時間制とは、変形期間中(ある一定期間)の労働時間が、平均して1週あたり

40時間以内であればOKという制度です。
例えば、変形期間が4週間で、それぞれの所定労働時間が次の場合
1週目・・・40時間  2週目・・・45時間  3週目・・・40時間  4週目・・・35時間

 

4週間の平均は、1週あたり(40+45+40+35)÷4=40時間となるので、

2週目に40時間を超えて45時間労働させても問題ありませんとなります。

 

変形労働時間制には、次の4書類があります。

 

・1ヵ月単位の変形労働時間制

・1年単位の変形労働時間制

・1週間単位の変形労働時間制

・フレックスタイム制

1ヵ月単位の変形労働時間制

1ヵ月単位の変形労働時間制とは、1ヶ月以内の一定期間を平均し、1週間の所定労働

時間が法定労働時間(1週40時間・1日8時間)を超えない範囲内において、特定の日

又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

 

導入する場合には、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものに、導入の要件を

定めることが必要です。

 

【導入の要件】

①変形期間の起算日を定め

②変形期間を1ヵ月以内とし

③変形期間における法定労働時間の総枠の範囲内

④各日・各週の労働時間を特定

⑤各日の始業・終業時刻を具体的に定める

 

法定労働時間の総枠は、月の暦日数によって異なります。

31日 177.1時間

30日 171.4時間

29日 165.7時間

28日 160.0時間

この総枠内で、各変形期間の所定労働時間を設定する必要があります。

 

飲食店や工場などでシフトを組んで労働させる場合は、勤務シフト表等により各日の労働時間

や休日を設定しているため、人によって労働時間帯や労働日がまちまちです。

これをすべて就業規則に定めることは大変な作業です。

 

このように勤務シフト表を作成して労働させる必要がある場合は、就業規則においては、

 

・始業終業時刻の組み合わせ(勤務パターン)のすべて

・勤務パターンの組み合わせのルール

・勤務シフト表の作成手続及びその周知方法

 

を定め、各日ごとの勤務割は、勤務シフト表で変形期間の開始前までに

具体的に明示すればOKです。

 

一旦特定した労働日・労働時間を変更(シフトの変更)するには、就業規則や労使協定に

変更事由を具体的に定めておく必要があります。

 

「業務の都合により」という定め方では不十分で、労働者から見て予測可能な程度に変更

事由を具体的に定めておかなければならず、これによらない変更は違法となります。

また、就業規則等にシフト変更に関する定めがない場合は、シフトの変更はできません。

 

 

【変形労働時間制における時間外労働の算定方法】

変形労働時間制の時間外労働の算定方法は、トリプルチェックが必要になります。

日々について → ②について → ③変形期間について

の順で算定を行い、その合計が時間外労働の時間数となります。

日々の時間外労働

・所定労働時間が8時間を超える日の場合は、その所定労働時間を超えて労働した時間

 

例えば、1日の所定労働時間が9時間の日に10時間働いた場合

→ 1時間の時間外労働

 

・所定労働時間が8時間以下の場合は、8時間を超えて労働した時間

 

例えば、1日の所定労働時間が7時間の日に10時間働いた場合

→ 2時間の時間外労働

週の時間外労働

・所定労働時間が週40時間を超える週の場合は、その週所定労働時間を超えて

労働した時間

 

例えば、週所定労働時間が42時間の週に週44時間働いた場合

→ 2時間の時間外労働

 

・所定労働時間が週40時間以下の場合は、週40時間を超えて労働した時間

 

例えば、週所定労働時間が38時間の週に週44時間働いた場合

→ 4時間の時間外労働

 

ただし、週の所定労働時間を算定する時に、すでに①日々の時間外労働の算定時に

時間外労働としてカウントされた時間は除いて計算します。

 

変形期間の時間外労働

・変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間

 

ただし、①日々及び②週の時間外労働の算定時に時間外労働としてカウントされた時間は

除いて計算します。
この3つのチェックで時間外労働として算定された時間数の合計が、変形期間における
時間外労働時間となります。
ときに③のチェックのみで、時間外労働を算定しているケースが見受けられますので

注意してください。

 

例えば、変形期間中の1日のみ所定労働時間が9時間でその日に実際10時間労働したとし

(1時間の時間外労働)、他のすべての日は所定労働時間が7時間で実際の労働時間も

7時間であった場合、③のみのチェックですと変形期間の総労働時間としては法定労働時間

総枠内におさまってしまうため、1時間の時間外労働が埋没してしまい時間外労働として

カウントされなくなってしまうからです。

 

面倒ですが、必ず①→②→③の順でチェックする必要があります。

 

1ヵ月単位の変形労働時間制は、上手く運用することで時間外労働の割増賃金を抑えることが

できるのですが、導入するには就業規則等で通常の労働時間制よりは細かく規定を定めること

が義務付けられていますし、時間外労働の計算方法も特殊です。