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労務管理のあれこれ9

雇用契約の期間

雇用契約期間は、期間の定めのないものを除き、3年を超えてはいけません。

(労働基準法第14条)

ただし、次の場合は5年まで可能です。

高度の専門知識・技術を有する者が、その高度の専門知識等を必要とする業務に就く

場合

博士の学位を有する者、公認会計士、システムアナリスト試験合格者など


②満60歳以上の者と契約する場合

 

また、土木工事など一定の事業の完了に必要な期間を契約期間と定める場合

4年で完了する土木工事において、4年の契約期間で雇い入れる等

有期雇用契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

契約締結の際に、契約更新の有無およびその判断基準を労働者に明示しなければ

なりません。

更新の有無  自動的に更新する。

       更新する場合がある。

       更新はしない。

判断の基準  業務量により判断する。

       勤務成績、態度により判断する。

       経営状況により判断する。

 

◎すでに1年を超えて雇用している者に雇止めを行う場合は、30日前までに予告

しなければなりません。

 

◎労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、使用者は文書を

交付しなければなりません。

 

◎1年を超える期間の雇用契約を締結した労働者は、1年経過後いつでも使用者に

申し出ることによって退職できます。

人事異動(配転、出向、転籍)

①配転

勤務場所や職種が相当期間にわたって変更されるもの。

■従業員に配転命令を命じることができる根拠

就業規則に配転に関する規定がある。

・過去に転勤が行われている。

・勤務場所や職種を変更しないという個別の合意がない。

→ 従業員の個別同意なしに配転命令を命じることができます。

 

勤務場所や職種を変更しないという個別の合意がある場合は、

配転命令には従業員の同意が必要です。

 

■配転命令権を有する場合でも、配転命令が権利濫用になる場合は無効になります。

・配転命令に業務上の必要性がない場合

・配転命令が他の不当な動機・目的をもってなされた場合

例)組合活動を理由とした配転、退職に追い込むことを目的とした配転

・従業員に対し、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合

例)本人が病気で転勤によりその病気の悪化の可能性がある。

病気の家族の看護をしなければならない。

 

不利益を緩和する措置を行っていると配転命令が有効とされやすくなります。

②出向

元の会社に在籍したまま、労務提供先を別会社に変更するもの。

元の会社に復帰することが予定されている。

■従業員に出向命令を命じることができる根拠

配転の場合と同じです。

■出向命令が権利濫用にあたらないこと

業務上の必要性がある。

人選が妥当である。

・労働条件が著しく悪化しない。

・生活に著しい不利益が生じない。

③転籍

元の会社との労働契約関係が終了し、別会社と新たに労働契約を結ぶもの。

元の会社に復帰の可能性はない。

■従業員に転籍命令を命じることができる根拠

就業規則に規定があること、プラス※従業員の同意が必要です。

■転籍命令が権利濫用にあたらないこと

 

実務的には、就業規則に配転・出向・転籍に関する規定があり、従業員に事前に内示する

という対応が多いかと思います。内示の段階で承諾してくれた場合は良いですが、拒否された

場合の対応としては

・他の従業員にあたる。

・権利濫用に該当していなければ配転命令を正式に発令する。(転籍は除く)

→ それでも拒否の場合は、業務命令違反として懲戒処分(解雇等)することも

可能です。

在宅勤務の労務管理について

在宅勤務とは

雇用関係にある労働者が情報通信機器を活用して、労働時間の全部または一部について

自宅で業務に従事する勤務形態をいいます。

 

在宅勤務の問題点

労働時間の管理が難しい。よって、健康状態の把握が難しい。

労働者の評価が難しい。

 

在宅勤務の法令の適用

通常の労働者と同様に労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法等の

労働基準関係法令が適用されます。

 

 

◎在宅勤務を行う場合の注意点

①労働条件の明示

在宅勤務を行わせる場合は、労働契約の締結に際し就業の場所として、従業員の自宅を

明示しなければなりません。

 

②みなし労働時間制

労働時間を算定することが困難な場合には、事業場外みなし労働時間制を適用すること

ができます。

次のいずれの要件も満たす場合に適用可能

・当該業務が起居寝食等私生活を営む自宅で行われること

・当該情報通信機器が使用者の指示により、常時通信可能な状態にしておくことと

されていないこと

・当該業務が随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

 

③深夜・休日労働が行われた場合

 割増賃金の支払は当然必要です。勝手に深夜・休日労働が行われることを防止するには、

 事前許可制・事後報告制の導入が考えられます。

 

労働安全衛生法関係

長時間労働や深夜労働により、従業員が健康を損なわないよう管理する必要があります。

通常の従業員と同様に健康診断を実施しなければなりません。

 

労災保険

在宅勤務中に業務が原因で生じた災害は、労災の対象となります。

 

その他

・通常の労働者と異なる賃金制度等を定める場合には、就業規則に規定しなければ

なりません。

情報通信機器等作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、就業規則に

規定しなければなりません。

・社内教育や研修制度に関する定めをする場合には、就業規則に規定しなければ

なりません。

・文書やデータの漏洩防止策を講じる必要があります。

労働・社会保険関係書類の法定保存期間

労働・社会保険関係の書類は、法律で保存期間が定められています。

 

●健康保険・厚生年金保険に関する書類 → 2年

 

●雇用保険の被保険者に関する書類 → 4年

 

●雇用保険の上記以外の書類 → 2年

 

●労働保険に関する書類 → 3年

 

●労災保険に関する書類 → 3年

 

●健康診断個人票 → 5年

 

●労働者名簿 → 離職の日から3年

 

●賃金台帳 → 3年

 

●入社・退職(解雇含む)に関する書類 → 退職(解雇)の日から3年

 

●賃金その他労働関係に関する重要な書類 → 3年

タイムカード、出勤簿、残業に関する書類、労使協定書など

 

●助成金関係の書類 → 支給決定の日から5年