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労務管理あれこれ5

定年後も引き続き再雇用する場合の給与・年金のポイント

定年後も引き続き嘱託社員等として勤務する場合は、給与と年金の金額に応じて、

年金の一部または全額が支給停止になることがあります。

また、雇用保険の雇用継続給付金をもらう場合は、さらに年金が減額されます。

これらの調整は、厚生年金保険の被保険者でない場合は行われません。

 

1.60~64歳の老齢厚生年金は、給与と年金の合計金額に応じて支給停止となることがあります。

 

総報酬月額相当額・・・給与(標準報酬月額)+その月以前1年間の標準賞与額÷12

基本月額・・・定額部分と報酬比例部分の年金額(加給年金は除く)÷12

 

●基本月額+総報酬月額相当額が28万円以下

→ 支給停止なし、年金は全額支給

 

●基本月額+総報酬月額相当額が28万円超える

→ 支給停止あり (停止額の計算式は下記4パターン有り)

 

基本月額が28万円以下、総報酬月額相当額が46万円以下の場合

支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2

 

例えば、 基本月額18万円、総報酬月額相当額24万円の場合

(24万円+18万円-28万円)×1/2=7万円

よって、年金は月額11万円

 

基本月額が28万円以下、総報酬月額相当額が46万円超の場合

支給停止額=(46万円+基本月額-28万円)×1/2+

             (総報酬月額相当額-46万円)

例えば、基本月額24万円、総報酬月額相当額48万円の場合

(46万円+24万円-28万円)×1/2+(48万円-46万円)=23万円

よって、年金は月額5万円

 

基本月額が28万円超、総報酬月額相当額が46万円以下の場合

支給停止額=総報酬月額相当額×1/2

 

例えば、基本月額36万円、総報酬月額32万円の場合

32万円×1/2=16万円

よって、年金は月額20万円

 

基本月額が28万円超、総報酬月額相当額が46万円超の場合

支給停止額=46万円×1/2+(総報酬月額相当額-46万円)

 

例えば、基本月額36万円、総報酬月額相当額50万円の場合

46万円×1/2+(50万円-46万円)=27円

よって、年金は月額9万円

2.雇用保険の高年齢雇用継続給付金と年金の調整

 

雇用保険に5年以上加入していて、60歳以降の給与が定年時の給与に比べて

75%以下に低下した場合にもらうことができる給付金です。

 

61%未満に低下 → 給与×15%の給付金がもらえる

61%以上75%未満に低下 → 給与×支給率で計算した金額

※支給率は15%から徐々に下がる

 

高年齢雇用継続給付金をもらっている間は、年金が本来の支給停止(上記1.)に

プラスして、給与が61%未満に低下した場合は、標準報酬月額の6%に相当する額の

年金がさらに支給停止になります。

給与が61%以上75%未満の低下の場合は、低下率に応じて6%から徐々に下がった

率を標準報酬月額に乗じて計算した年金がさらに支給停止となります。

 

3.65歳以降の老齢年金

 

老齢基礎年金全額支給されます。老齢厚生年金と給与の合計額に応じて、

老齢厚生年金が支給停止となることがあります。

 

●老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額が46万円以下

→ 支給停止なし、年金は全額支給

 

例えば、基本月額12万円、総報酬月額相当額30万円の場合

12万円+30万円=42万円≦46万円なので、支給停止なし

 

●老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額が46万円を超える

→ 超えた金額の1/2の年金が支給停止

 

例えば、基本月額14万円、老齢基礎年金5万円、総報酬月額相当額50万円の場合

(14万円+50万円-46万円)×1/2=9万円

よって、老齢厚生年金は月額5万円 (プラス老齢基礎年金5万円で計10万円)

 

給与を高くしても、場合によっては、年金が支給停止になるため、逆に給与と年金と

高年齢雇用継続給付の3つを足した合計額が減ってしまうことがあるので注意が

必要です。

3つを足した合計額が一番高くなる給与の金額を、その人の60歳以降の給与

することがポイントです。

 

ちなみに、60歳以降も引き続き勤務はせず、定年退職して雇用保険の基本手当を

もらう場合は、老齢厚生年金の支給はその間支給停止となります。

基本手当をすべてもらい切ったのち、年金が支給されます。ただし、65歳以降は

支給停止はありません。

 

 

平成25年4月以降定年を迎える人たちから、60歳時点では年金が支給されなくなり

ました。 よって、給与+年金+雇用継続給付、の3つを足した金額設定の仕組みが利用

できません。

年金支給が始まるまでの給与をどうするのか、再雇用後の職務内容を考慮して、本人に

ふさわしい適切な給与額を決める必要があります。

モチベーションが下がることがないよう配慮することがポイントです。

退職者の社会保険

人事担当者が退職者に説明すると喜ばれる社会保険のポイントを紹介いたします。

丁寧・親切な説明をして会社に対して好印象をもって退職していただきましょう。

 

◎退職後の健康保険の選択肢は次の3つ

①同居の親族の被扶養者になる

・年収130万円未満 (60歳以上の場合は180万円未満)

・雇用保険の基本手当(失業手当)受給中は基本手当の額によりますが

扶養になれないことが多いです。給付制限期間中は扶養になれます。

 

②任意継続被保険者になる

・退職前に健康保険の被保険者期間が継続2ヶ月以上あればOK

・資格喪失後20日以内に協会けんぽに本人が手続をする

2年間被保険者になれます  ※原則途中でやめることは出来ません。

・保険料は、退職時の標準報酬月額と協会けんぽ加入者の平均標準報酬月額

(28万円)の低いほうに保険料率をかけて計算されます。

※当然会社負担はなく全額自己負担となります。

 

③国民健康保険に加入する

・前年の所得をもとに保険料は計算されます。

※市町村により保険料率等は異なります。


◎社会保険の傷病手当金受給中に退職した場合は、労務不能の状況であるため

雇用保険の基本手当は当然もらうことができません。しかし、受給期間延長の手続を

住所地のハローワークで行っておくと、もらえる可能性が出てきます。

 

受給期間とは、

離職日の翌日から1年間の期間で、その間に基本手当をもらいますが、

1年経過してしまうと、まだもらっていない基本手当があっても

もらえなくなってしまいます。

 

そこで、

病気、ケガ、出産、育児などの働けない理由により、引き続き30日以上職業に

就くことができない状態の場合には、受給期間延長の手続ができます。

受給期間は最大4年間に延長できます。

申請は、退職後その状態が30日経過した日の翌日から1ヶ月以内に行います。

 

◎定年退職の場合も受給期間の延長ができます。

申請期間は定年退職後2ヶ月以内です。

 

◎60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の基本手当は支給調整されます。

両方を一緒にもらうことはできません。基本手当もらっている間は年金が支給停止

なります。年金と基本手当どちらをもらった方がいいか、事前に金額を確認しておくと

よいです。

 

◎厚生年金に44年以上加入した人が退職した場合は、定額部分の年金も60歳から

もらえます。そして、65歳未満の配偶者がいれば加給年金も60歳からもらえるため、

基本手当より年金をもらったほうがお得の可能性が高いです。

未払賃金立替制度

会社の倒産により給与等が支払われないまま退職した従業員に対して、未払い給与等の

一部を独立行政法人労働者健康福祉機構が立替払いする制度です。

■会社の要件

1年以上事業活動を行っていたこと

倒産したこと

法律上の倒産 → 破産、特別清算、会社整理、民事再生、会社更生の場合

事実上の倒産 → 中小企業について事業活動が停止し、再開の見込みがなく、

給与支払能力がない場合  ※労働基準監督署の認定が必要

■従業員の要件

最初の破産等の申立があった日、もしくは労働基準監督署長への認定申請をした日の

6ヶ月前から2年間の間に退職していること

■立替払いの範囲

・給与

・退職手当

※賞与は対象外です。

立替払の対象となる未払賃金は、退職日の6ヶ月前の日から機構に対する立替払

請求の日の前日までの間に支払日が到来している「給与」及び「退職手当」で未払の

ものに限られます。

■立替払いの額

未払い賃金の8割です。ただし。退職時の年齢に応じた上限があります。

 

退職日における年齢

未払賃金総額限度額

立替払いの上限額

30歳未満

110万円

88万円

30歳以上45歳未満

220万円

176万円

45歳以上

370万円

296万円

 

■立替払いの請求期間

裁判所の破産等の決定又は労働基準監督署長の倒産の認定があった日の翌日から

起算して2年以内です。この期間を過ぎてしまった場合は立替払を受けることは

できません。